Posts Tagged ‘損金参入’
役員に支払う退職金は、いつ頃に損金の額に参入することができるのでしょうか。
2006年4月1日から始まる事業年度に、役員への退職金で妥当な額数である場合は、損金算入ができます。その算入時期は、株主総会の決議で退職金の具体的な額数が決まった日を含む事業年度になります。
しかし、退職金を実際に支給した事業年度に損金経理を行った場合は、その支給した事業年度での損金算入が認められます。
*退職金の具体的な額数が決まる事業年度より前の事業年度に、取締役会で内定された額数を損金の経理によって未払金として計上した場合でも、未払金に計上した時点での損金算入はできません。
*法人が退職年金制度を運営している場合に支払われる退職年金は、その年金の支給されるべき事業年度が損金算入の可能な時期になります。なので、退職した際に年金の総額を算出して未払金に計上しても、損金算入は出来ません。
特殊支配同族会社での役員の給与は、損金の額に算入されるのでしょうか。
2010年の税制改正により、2010年4月1日から終了する事業年度からは適用が不可能となりましたが、その前までの事業年度では、対象の特殊支配同族会社である法人が業務主宰役員に支払う給与の金額の中で、給与所得控除額に当たる金額は損金算入がされないことになっています。
しかし、対象の特殊支配同族会社の基準所得の額数が1600万円(2007年3月31日までに始まる各事業年度の場合は800万円)を超えない事業年度の場合は、この規定の適用対象になりません。
特殊支配同族会社とは、以下のどちらかに当てはまる同族会社のことで、常務に重視する業務主宰役員関連者と業務主宰役員の総数が常務に従事している役員の総数の50%以上であるものになります。
1.業務主宰役員のグループ(業務主宰役員関連者とその役員を一つのグループにしたもの)が対象の同族会社の出資・発行済み株式の総数や総額の9割を超えた数を所有している場合、その同族会社
2.業務主宰役員グループが対象の同族会社の一定の議決権の総数の9割を超えた数を所有している場合、その同族会社:議決権の行使が不可能な株主の所有株は除外
3.業務主宰役員グループが、対象の同族会社の株主など(合同会社、合資会社、合名会社の社員)の総数の9割を超えて占めている場合、その同族会社
*特殊支配同族会社であるかないかの判断は、当該事業年度の終了の際の現状で行われます。
この制度での損金の額に算入ができない金額は、当該の事業年度の業務主宰役員の給与額に対し、以下の通りとなります。
1.業務主宰役員の給与額が65万円を超えない場合、損金の額に算入できなくなる金額はその給与額の全額となります。
65万1円から180万円までの場合は、その給与額に0.4をかけた金額が損金不算入となり、180万1円から360万円までの場合は、その給与額に0.3をかけてから18万円を足した金額が、360万1円から660万円までの場合は、その給与額に0.2をかけてから54万円を足した金額が、660万1円から1000万円までの場合は、その給与額に0.1をかけてから120万円を足した金額が、それに千万1円からの場合は、その給与額に0.05をかけてから170万円を足した金額が損金の額から不算入となるものとなります。
*この計算の場合の業務主宰役員の給与額には、債務が免除されることで得られる利益などの経済的な利益の額数が入りますが、法人税法第34条<役員給与の損金不算入>の定めによる損金不算入の金額や退職給与の金額などは含まれません。
*業務主宰役員として勤めた期間が1年を超えない場合は、その給与額を期間の月数で割って、これに12をかけた金額が上記の業務主宰役員の給与の額数となります。それに、この場合の損金不算入になる額数は、上記より算出された金額を12で割って、これにその期間の月数を乗じて計算された額数になります。
2.他の特殊支配同族会社から支給された業務主宰役員に対する給与がある場合の特例計算:特殊支配同族会社に所属している業務主宰役員に対し、当該事業年度のその業務主宰役員として努めた期間相当の期間に、他の特殊支配同族会社から支給された業務主宰役員に対する給与額がある場合、このような業務主宰役員に対する給与額の合計を上記の算式に当てはめて計算された額数を、その合計額で割って、特殊支配同族会社の業務主宰役員の給与額を乗じた金額をその特殊支配同族会社の損金の額に参入されないことにする特例があります。
この特例の適用対象になるためには、確定申告書を提出する期限まで特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入の特例計算に対する明細書(附表)と、他の特殊支配同族会社が証明する業務主宰役員に対する給与額などの書類を添付して提出してください。
特殊支配同族会社の以下の場合に当てはまる事業年度は、この規定の適用対象になりません。
1.基準所得金額が年1600万円以上で3千万円を超えない場合であると同時に、基準所得金額に占めるその事業主宰役員に支払われる基準期間の損金額への参入給与の平均額数の割合が5割を超えない事業年度
2.当該事業年度の始まる日の前の3年以内に開始された各事業年度の所得金額・欠損金額と業務主宰役員に対する給与額などにもとづいて計算された額数の平均がねん1600万円を超えない事業年度
*2007年3月31日まで始まる各事業年度の場合は、年800万円となります。
*新設法人などで、基準期間が内特殊支配同族会社の場合は、その事業年度の欠損金額・所得金額・業務主宰役員に対する給与額に基づいて計算された金額で、上記の1や2と同じく判定されます。
この制度の適用対象になる法人は、確定申告書に当年度基準所得金額の計算や基準所得金額、この規定の適用対象となる金額の計算に対する明細書と別表を添えて提出してください。